喪失、悲嘆、死別のサポート
大切な人を死によって失った者の悲しみは深い。
リサーチによると、身近な人の死別を体験した人は、そうでない人に比べて、医師にかかる回数が多く、より多く薬を必要とし、病院に入院する事も多いそうだ。(Stroebe、Hansson, Stroebe, & Schut., 1999)
ビクトリア州で毎年約3万2千人が死亡する。一人の死が大体10人の人に影響を与える。つまり、32万人のビクトリア州民が何らかの影響を受けるという事になる。州民の健康を維持、向上させると言う観点からも、適切な喪失、悲嘆、死別のサポートが必要という事になる。
しかし、死別を体験した人が、皆、カウンセリング等の専門的介入が必要かというとそうではない。
圧倒的多数の人は、家族、友人、コミュニティー等のサポートで、喪失、悲嘆、喪のプロセスをたどっていく事ができる。
喪失、悲嘆は病気ではない。喪失、悲嘆を病的なものとして扱うのではなく、ノーマライゼイションが必要である。但し、個人個人によって、文化によって、その過程は異なり、これが正しいやり方、間違ったやり方というものがあるわけではない。その事を家庭で、学校で、職場で、、コミュニティーで理解し、受け止めてサポートしていく事が重要であるといわれている。
しかし、5~10%位の人達は、複雑、病的な喪失、悲嘆のリスクにあるといわれている。ヘルスケアプロフェッショナルに取っては、ハイリスクにある人たちをスクリーニングする事が重要になるのだが、悲嘆の分野の研究はまだそれほど進んでおらず、これこそといったスクリーニングツールがない。
Jordan, Niemeyer、(2003)は、ハイリスク要因として下記のことをあげている。
- 配偶者を亡くした男性、特に高齢で、世間との付き合いもなく、社会的に孤立している人
- 子供を亡くした母親
- 突然の死、或いは悲惨な死(自殺、テロ、戦争、殺人、事故死等)
- 鬱病等の精神障害、薬物依存、PTSD
- 自分に自信がなく、自分で物事をやる能力が低く、故人にべったり依存していた人
- 虐待やトラウマの経験がある人
- 極度の抑うつ、不安、Rumination symptoms
- Diagnostic Criteria for Complicated Griefの基準に当てはまる人
ビクトリア州では政府の資金で、グリーフエデュケイションセンターを始めとする4つのサービス機関を設け、教育啓蒙活動、カウンセラーの養成、個別或いはグループでのカウンセリング等を行っている。子供を対象にしたプログラムも多い。
その他、ヘルスケアサービス機関、緩和ケアサービス、地元の教会、葬儀社、電話相談サービス、プライベイトのカウンセラー等々、様々なサービスがあるが、都会に住むものには容易にアクセスできても、田舎に住む人には難しいとか、問題は多い。
政府の方針としては、専門家による治療的介入は、ハイリスクにある人にターゲットを絞って提供する。ノーマルな喪失、悲嘆の範囲内にある人には、その人の家族、友人、職場等のサポートが得られるように、一般社会への教育啓蒙活動を充実する。ヘルスケアワーカーへの喪失、悲嘆に関する教育を充実しする。このような傾向で動いている。無制限に財源があるわけではないから、いかに限られた財源で、州民に公平な、効果的なサービスを提供するかが必要という事だろう。
この記事はビクトリア州政府による下記のレポートを参考、引用したものです。
Review of Specific Grief and Bereavement Services
http://health.vic.gov.au/palliativecare/finalrep_grief.pdf
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コメント
こんにちわ。
とても勉強になりました。
母を亡くした知り合いは、まだ立ち直れていませんでした。
誰もが死を常に考えているわけではありませんから・・・・・・・。
いつでも平等に、サービスは受けられないものですね。
>喪失、悲嘆というのは深い傷のようなものだとグリーフカウンセラーから聞いたことがあります。年月が経てば傷は癒えるけれども、傷の治り方は人により違う、治っても傷跡は残る、その傷跡が時には化膿したり、痒くなったリする…、その頻度は年とともに少なくなるけれども傷跡は決してなくなることは無い…
悲嘆というものを周りの人が理解し、傷口が傷むとき、故人の命日とか、誕生日とか、祝祭日とか、さりげなく心の痛みを聞く耳を提供する事、それが大きな助けになると聞きました。
投稿: takako | 2007年7月28日 (土) 12時58分