Nursing

勤務表作り

お久しぶりです。

今日は、ナースのベストセラーとか言われる勤務表のお話(いますよね。何回見ても変わるわけじゃないし、休みが増えるわけでもないのに、仕事に来るたびに、勤務表に見入っている人、毎回、新たな発見があるらしいですよ。)

ナースの皆さん、皆さんの職場ではナースの勤務表はどのように作られているのでしょうか?

私の職場では4人いるANUM(アソシエイトナースユニットマネージャー)が交替で作っています。

ベッド数14床、ナーシングスタッフはフルタイム、パートタイム合わせて20名、簡単そうだけど、担当になるたびにうんざりします。

こちらでは勤務日数の50%までは希望を出していいことになっています。しかし、現実には皆が、全体のことも考えず50%希望を出すと、シニアとジュニアのスタッフが適当にミックスした勤務表を組むことは不可能になります。だから,どうしても受け入れてほしい希望を赤字で記入し、できれば希望というのは黒字で記入ということにしています。それでもどうしても休みがほしい人が同じ日に集中すると勤務が組めません。誰かにはあきらめてもらわなければなりません。

こうした苦労を解決するコンピューター化した勤務表の導入がされるかもしれないという話があります。

これによれば、どの日もバランスよく配置されたスタッフでカバーできるというのですが…

勤務希望は一切受け入れず、どうしても都合が悪くて勤務を交代してほしいときには、交替によりバランスに崩れが生ずるのでその一勤務だけでなく、全部のラインを交代してくれる人を探さなければいけないということになるようです。

すでにこのシステムを導入した病院があるけれども、ナースが嫌って常勤を辞める人が続出とか…(>o<)

うちの病棟は現在でも希望は多いし、途中での勤務交替希望も多いし
いずれも可能な限りは希望に応じるようにしていますが

希望や交替がスムーズに行かない勤務表が導入されれば、こちらのナースは黙って我慢することは絶対ないでしょうから、大変なことになるのは目に見えています。

結局、私が勤務表を作る作業から開放されることがないことはほぼ確実

さあ、どうなるでしょうか?

続報お楽しみに!?

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ビクトリア州で9日間のナースのストライキ

少し遅くなりましたが、ビクトリア州で9日間にわたって戦われたナースのストライキについて報告します。

オーストラリアのナースのユニオン、ANF (Australian Nursing Federation)のビクトリア支部はナースの給与の改善、安全なケアの提供できるような労働条件の改善を求めて10月17日から25日までの9日間にわたってストライキを行いました。

ストライキに至るまでには、6ヶ月にわたって政府と交渉を続けてきましたが、何の誠意ある回答も得られず、この結果となったものです。

ビクトリア州のナースは、オーストラリアの中で最も低い給与で働いています。政府の出した賃上げの利率では、他州に追いつくどころか、ますます差がついていく、ナースの不足している中、他州と同等のレベルの給与になるようにと求めていました。

ビクトリア州は、前の記事ナース対患者の割合で紹介したように、患者の人数に応じての最低限のナースの数を下記のように規定しています。
日勤(0700-1530) 患者4人に1人のナース+師長もしくは代行
午後(1300-2130) 患者5人に1人のナース+師長もしくは代行
夜勤(2100-0730) 患者8人に1人のナース

ところがビクトリア州政府は、この割合を、なし崩しにしようと各病院状況に応じて定員以下で勤務させるようにと指導を入れてきています。

ナースの長い戦いの中でやっと勝ち取ったこの割合、オーストラリアの中でビクトリア州だけがこの基準を持っています。患者にとって安全なケアを提供するためにこの割合は崩せない、救急や周産期部門等、もっとナースの割合を高めるべきだ、又、高齢者ケア、緩和ケア、地方の小病院等のナースの数をもっと増やして欲しいとANFは要求を掲げていました。

ストライキは、

  1. 急性期病院の4ベッドにつき1ベッドを閉鎖する
  2. 手術の4件につき1件を減らす
  3. 在宅ケア、精神化ケア、高齢者施設のケアについて特定の行為を行わない

緩和ケアユニットはこの対象からはずされていたので、私たちは直接参加することはありませんでした。

ビクトリア州政府は(労働党政権なのに)、ストライキを行ったらナースの給与をカット、その上に莫大な罰金も払わなければいけないと脅し、病院によっては、管理者がユニオンのメンバーに嫌がらせをするなどの圧力をかけてきましたが、10月25日、ついに政府はANFの要求をほぼ受け入れ、ストライキは終わりました。賃金カットされて仲間へのカンパの相談もしていたのですが、それも政府のほうからでる事になり、罰金も無く、ほっと一息

賃上げは10月からの予定でしたが、事務手続きに時間がかかっており、来年になる予定、ちゃんと遡って支払ってくれるので心配はしていませんが、やっぱり直接手元に入らないと実感がわきません。

他州との差はすぐに埋まるわけではないでしょうが、多少は追いつき始めることになると思います。現在の給与では、もし私がお隣の州のシドニーに働きに行けば、年間の給与が日本円にして80万円ぐらい違うのですから、今回の賃上げで、別の州に行こうかと思っていたナース、働き口を探している外国からのナースや新卒のナース等を多少はこの州に引き止める効果があるかもしれません。

緩和ケアのナースの増員もまだ現在は従来の基準のままでやっていますが、事務手続き終了後はもう少しゆとりができる配置になれるかと期待しています。

日本からこちらの病院の見学に来られるナースの方たちは例外なくこちらの労働条件の良さを日本のそれと比べて羨ましがられますが、こちらのナースは、黙っていても何もよくならない、労働条件の改善はケアの内容の向上に密接に結びついているんだと、一つ一つ戦い取ってきたものです。

私がオーストラリアに来る前、1986年には、ビクトリア州で50日間にわたるナースのストライキがありました。この結果、下記のようなことを実現する事ができました。

  1. 看護教育を大学教育に一本化する
  2. 看護の業務から看護以外の雑用をなくし、クリーナー、病棟クラーク、配膳係り等それぞれ必要な人材を雇い入れる
  3. 患者対ナースの割合の適切化
  4. ナースの給与の改善

忙しく、残業の連続で疲れ果てている日本のナース、日本人ナースの方のお話を聞くたびに、ナースの労働条件とケアの内容が以下に密接に結びついているかを痛感します。

日本では医療崩壊が叫ばれていますが、オーストラリアも例外ではありません。より少ないお金でより多くのサービスを提供するようにというプレッシャーの動向はこれからも変わることは無いように感じます。

オーストラリアはこの度、11年ぶりに政権が交代し、労働党政権となりました。ヘルスケアシステムの改善はラッド内閣の優先事項の一つでもありますから、ちょっとでもよい方向に向けて動いていく絶好の機会となればと思っています。

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腰痛防止対策

腰痛といえばナースの職業病のようなもの、患者さんのサイズも大きいここオーストラリアではナースが患者さんの体位変換や移動の援助をしていて腰を痛めるということが非常に多く、これは病院、そして州政府の大きな財政的負担ともなっている。

ビクトリア州政府は1998年に腰痛防止対策プロジェクトを立ち上げた。病欠や労災でお金を使うよりは、同じお金を使うなら、腰痛の防止のために使おうという至極理にかなったプロジェクトである。いくら労災でお金を支給してもらっても、働いていたときと同じ給与にはならないし、腰を痛めればそのナースの毎日の生活、クオリティーオブライフにも大きく影響する。政府による腰痛防止対策は現場のナースにとって大きなサポートとなった。

このプロジェクトは、ナースに腰に負担を与えない移動のテクニックを教育する事、患者移動のための様々な機械、用具を各病院で購入できるよう資金を提供するものだった。この結果、ナースの腰痛、腰痛による欠勤日数は大幅に減少した。

私の職場で使っているものは、まず、体位変換用のトランスファーシート、これはつるつるすべりのよいドローシツ位のサイズのもので、ものすごく小さなアジア系の患者さんででもない限りは、必ず使っている。これを使い出しからは、腰痛が激減した。大きな患者さんで昔なら4人とか6人で体位変換していたケースでも、このシートを使って2人で楽々動かせるようになった。在宅に帰る患者さんの家族にも遣い方を教えて、非常に重宝がられている。

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これはStanding Lifter,自分で立てるのだけれども何時よろけるかわからない不安定な人の移動に最適、一人でも簡単に操作できる。

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こちらは全く立てない人のための移動に使う。

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これはシャワー用の車椅子、このままトイレに移動も可能、便器を入れてかモードとして使用も可

次の椅子は?

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ごく普通の安楽椅子、でも電動

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背もたれがここまで倒れる。

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体力の弱っている人は、一旦低い椅子に座ると立ち上がるのが大変、でもこれだと椅子が立つのを助けてくれる。

よく使っている介護用具のごく一部を紹介してみた。
腰痛防止対策は、何も看護職に限ったことではない。病院で働いている多くの職種が,腰痛を起こす可能性のある動作をしている。病院のプロジェクトコーディネイターのもと、各ユニット単位で担当者を決め、スタッフの教育、問題点のピックアップ、リスクを減らすための対策等を行っている。

機械を使ったりするのが面倒で大丈夫だろうと患者さんを抱き起こしたり、といった横着は危険と隣り合わせ、自分の一生を狂わせてしまう事になりかねない。気をつけましょう!

腰を痛めていい方向に人生を切り開いた人もいるけれど…。
緩和ケアの母と言われるシスリー ソーンダース女史、彼女は若い頃ナースを目指していたが、看護学生のときに腰を痛めて断念、ソーシャルワーカーになり、末期患者との出会いをきっかけに50代で医者になり、近代ホスピス運動の発祥の地となったイギリスのセントクリストファーズホスピスを設立した。

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ナースに対する暴力

前に私の勤める緩和ケアユニットに、日本のナースが短期間、研修に来たことがあった。

5日間の研修を終えたAさんに、一番印象に残った事はと聞くと、彼女は次のエピソードが最も印象に残ったと話してくれた。

私はその時、休暇中でついてあげる事ができず、Aさんは新卒だがしっかりもののMさんについてケアの現場を見せてもらっていた。

ある日、Mさんが、痛みのコントロールで入院中の40代の男性患者の持続皮下注の針の交換をしようとしたところ、その患者が急に怒ってMさんを乱暴に突いた。

Mさんは妊娠8ヶ月、とても落ち着いた性格のナース、そこで患者に対して穏やかに、自分はこれから何をするか、どうしてそれをしないといけないか、事前に説明をし、あなたは了解した、それなのに、こういう暴力を振るうなんて自分は絶対に許容できない、二度とこういうことはしないと約束してほしいと、きっぱりその患者に伝えた。

Aさんは、日本ではあんな風にきっぱり言えるナースなんていないと思う、自分に悪いところがあったんじゃないかと考えて謝ってしまうような気がする、ものすごくびっくりしたし、感動したと…

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ナースという仕事は、患者さんや家族からの暴力、暴言で嫌な思いをさせられたり、身の危険を感じるような事の多い仕事だと思う。

勿論、これはナースに限らず、医師やその他の医療者も、被害者となるが、一般的にナースが矢面に立たされるケースが多い。

Victoria州では2004年にこうした暴力に対してVictorian Taskforce on Violence in Nursingを設立した。

どこの病院もノーバイオレンスポリシーを掲げ、スタッフの教育に当たっている。暴力を許容する必要は全くないということ、暴力から自分の安全を守るためにどういうことができるか、組織としてどの様なサポート体制があるかという事について教育する。

暴力とは身体的な暴力に限らない。乱暴な攻撃的な言動、態度、言葉による嫌がらせ、セクシャルハラスメント等もすべて含まれる。

前に述べたケースでその後どうしたかというと、まず上司であるナースユニットマネージャーに報告、インシデントレポートを提出、ナースユニットマネージャー(NUM)が患者にノーバイオレンスポリシーについて再度説明、その患者はその後、いらいらした言動はあったが、二度と暴力を振るうことはなかった。

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うちのユニットで起きた患者、家族からの虐待のケースをもう少し紹介してみよう。

ケースその1

ある患者さんが人種差別的な言葉をイスラム系のナースに対して陰で言ったという事がNUMに報告された。その患者は、どうもアジア系のナースに対しても、はっきりと言葉は聞いていないが、態度が違うと感じている人達がいた。

ある日の午後の勤務、私が責任番で他の二人のナースもマレーシア人、台湾人と皆アジア系、私はNUMと事前に話をし、もしもその患者さんが差別的な言動をした場合、どのようなオプションがあるか話し合った。安全な職場環境を求める権利とケアへの義務をどう折り合いをつけるのか、患者さんが抗議をしても態度を改めないのなら、Allocationに他のナースをよこすよう要請できるのかという事だった。

NUMはまず自分が患者と話し合いをするということで一応話し合いは棚上げ、NUMの報告を待った。

NUMは、患者に人種差別は一切許容しないという事、今日の午後のスタッフは全員アジア系だということ、アジア系のナースのケアを受けたくないというのであればあなたは拒否する権利はあるが、あなたのために余分のスタッフを臨時に入れるつもりは無いから、次のシフトで誰か来るまで待つしかないですと…

その患者さんは80歳代の末期がんの女性、殆ど寝たきりで失禁もある人、NUMに上記のような事を言われて、そんなつもりはなかったと謝り、泣いたのだそうだ。そこまで言ったかと私もびっくりして、ちょっと可愛そうになったが、黙っていれば、ちくちくと嫌がらせの差別は続いたろうと思われるので、やはり抗議はきちんとすべきかと…

ケースその2

Pさんは83歳の末期がんの患者さん、少し認知症もあった。症状コンとロールで入院し、すぐに症状は治まり、ADLもほぼ自立状態、退院できる状態だったし、本人は家に帰りたいと言う。しかし、家族が家では面倒みれないと言う。毎日昼間から大勢で押しかけてたっぷり半日以上を患者さんのベッドサイドで過ごすのだから、自宅で介護することは可能だろうし、そのほうが家族の負担も少ないのではというのが私達の考えだったが、結局家族の希望でナーシングホームに転院、何ヶ月か後に痛みの悪化で再入院してきた。

二回目の入院では状態が徐々に悪化、死期が迫っている事が明らかだった。痛みのコントロールのためFenatnyl patchからHydromorphoneの持続皮下中に切り替えたが、うとうとしている時間がだんだん長くなってきた。

家族は相変わらず、皆でぞろぞろとやってきて長い時間を患者さんのもとで過ごしている。そして、うとうと眠りすぎだ、話ができない、麻薬の使いすぎだ、あなた達は彼女を殺そうとしていると文句を言い始めた。

体位変換や清拭のとき痛そうにうめく事があるのでレスキューの鎮痛剤を使おうというと拒否する、体位変換そのものまで拒否する、そのくせ自分達で直接手を出して患者さんに何かしてあげるという事はしない、よだれが出てるから拭いてみたいな事でナースコールしてくる…

この家族のためには何度も家族会議を開き、医師も時間をかけて説明し、ソーシャルワーカーや臨床パストラルケアワーカーも時間をかけて家族の話を聞いたりしたが、事態は一向によくならなかった。3人いる娘の一人が特にひどく、精神障害が疑われたが、私達にできる事はなかった。毎日の体位変換一つにも、その都度時間をかけて必要性を説明し、ネゴシエーションをしなければならない、疲れ果てるケースだった。

そのPさんが亡くなった。家族を見送りに玄関まで出た医師の顔に例の娘がつばを吐きかけて帰っていった。ナースにも言いたい放題の暴言を捨て台詞のように残して帰っていった。事はそれだけで終わらなかった。その後、職場に、ナース一人一人に名指しで嫌がらせの電話をかけてくるようになった。あの頭の変な娘がその辺に潜んでいて後ろから刺されるなんて事もありそうな話に思えて、仕事に行くのが恐怖だった。

もう我慢ならないと、NUMが病院の顧問弁護士に連絡をして、法的に対応してもらう事にした。苦情があるのなら、病院の苦情を受け付ける部門か州政府の医療に関する苦情を受け付ける部署にする事、ナースやスタッフ個人に対する電話等の行為は虐待であり、訴える用意があるというような事を文書で伝えたらしい。以後、嫌がらせの電話はなくなったが、恐怖はしばらく続いた。

これは極端なケースで、幸い、私のナース人生でこんなひどいケースに出くわした事は後にも先にもない。

このケースでよかった事は、医師もナースも他の職種も一緒になって、サポートし合い、患者さんの利益を考える姿勢は失わなかった事かと思う。

しかし、この家族と関わっている間に被ったスタッフのストレスは計り知れない。将来同様なケースが起これば、スタッフの保護のために、ユニットだけの問題としてではなく、病院として早めに対策を講じる事が必要だと確認しあったケースであった。

ケースその3

これは特定のケースではなくよくあるケース、痴呆症、せん妄、アルコール或いは薬物の禁断症状がある患者さんが、ケアを提供しようとするナースに対して、ついたり、殴ったり、引っかいたり、暴言を吐くというもの、緩和ケアユニットで起きる暴力は殆どがこのケースに入る。

こういう患者さんには一人でアプローチしない、殴られやすい、蹴られやすい角度、距離に身をおかない、家族の協力を得て処置の間話しかけたり、押さえたりしてもらう、暴言に抗議はするが暴言で答えない、そして勿論症状に対する適切な治療を行う。

必要ならセキュリティーのスタッフに応援を頼む。頑丈な体格のセキュリティーの制服を着たスタッフが顔を出すだけで、せん妄のある患者さんでもぴたりとおとなしくなる事が多い。

力のある患者さんの場合は、何か起きてからではなく、何か起きそうだったら、処置の前にセキュリティーのスタッフに連絡して応援がついてから処置を開始する。

インシデントレポートは例えニアミスでもきっちり書く。


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こちらの病院ではどこでも緊急時のコードが決まっている。

コードブルーはご存知の方も多いと思うが、Medical Emergency、これを発すれば心肺蘇生チームが駆けつける。

コードブラック、これは患者や家族、病院訪問者等にによる攻撃的な言動により脅威を感じた場合に発する応援要請、セキュリティーのスタッフがすぐに駆けつける。前に勤めていた病院では、バイオレンスへの対策がもっとしっかりしていて、患者の暴力に対しては、セキュリティーだけでなく、医師、ナース、そして屈強な体格のオーダリーのスタッフで構成されたチームが駆けつけ、必要ならその場で押さえつけて鎮静剤を投与するという事もあった。コードブラックでは必要なら警察にも応援を依頼する。

家族が、或いは訪問者が、興奮して声を荒げてスタッフに脅威を感じさせるような事態が起きた、コードブラックの要請を電話ですることが困難、そういうケースもあるかもしれない。そういう時のために、ナースステーションのデスクの下にデュレスアラームのスイッチがあり、膝で押せるようになっている。

病院によっては、ナースは、特に人の少ない夜勤帯では、特別のアラームを持ち歩くところもある。危険を感じた場合、スイッチを押す、或いはズボン、スカートにつけたそのアラームを無理矢理奪われた場合には紐が抜け、それがセキュリティーに伝わり、すぐに駆けつけてくれる。その時間すらなくいきなり襲われて倒れた場合には、アラームがその人の角度を感知してセキュリティーに伝わる。使い始めた時、間違いでアラーム発信をして2-3分でセキュリティーの人が来て、謝りながらも心強く感じたことだった。

ナースに限らず医療者への暴力は世界的に報告されている。組織としてスタッフの安全を守るための対策を取っていなければ、現場のスタッフのストレスは大きく、仕事への満足度の低下、職場のモラルの低下、離職、欠勤の増加、バーンアウトにつながるといわれている。

患者さん、家族の暴力、暴言にいたる心理的過程を理解しようとする事は大切だが、どの様な事情があれ、スタッフに対する暴力、暴言は許容しないというポリシーを持ち、組織として暴力に対応していく事が大切だと思う。

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ナースの休暇

こちらでナースとして働くようになって、びっくりし、感激したのが、休暇が多いこと

もちろん完全週休二日制だし、フルタイムなら、ナースは4週間に1日追加の休日もある。

有給休暇は、フルタイムだと年間6週間、パートタイムだと、労働時間に応じた有給休暇がある。

まだ働き始めて間もない頃、あなたはちっとも有給を使ってないから取るようにと催促された。
それならばと、3日間の有給依頼を出したら、あなたねえ、週単位にしてくれないと言われてびっくり!

有給は消化するもの、有給は個々のユニットの予算に組み込まれているから、ためて、後でまとめて取ったりすると予算が狂うということか

こちらで淋しいのはボーナスがない事
有給休暇は、時給の17.5%増しになるから、これがボーナスのようなものか、でも極わずかです(泣)

長く勤務すると、Long Service Leaveというものがある。これはパブリックの病院で、(病院を替わっていてもよい)、仕事を確か6週間以上中断することなく、15年以上勤務すると、26週間の休暇が有給で取れる。
殆どの病院が,15年まで待たなくても、10年を過ぎると、12週間取れるようになっている。
パートタイムならパートタイム分の給与が出ることになる。

Long service leaveは、いつ取ってもよい。
保険のようなものと、後生大事に取らずにおいてる人もいる。
配偶者と話し合って、夫婦で都合のいい時にまとめて取って、3ヶ月ぐらいゆっくり世界一周の旅等をする人もいる。

現在、ビクトリア州政府は、これをナースから取り上げようとしている。
26週間ではなく、13週間にすると圧力をかけてきている。
取られてなるものかと,抗議の集会やデモが行われている。
私も行かなくては!

病気休暇もある。
勤めて1年目で年間12日、2-3年目で14日、5年以上で21日ある。
パブリックセクター内なら、勤務病院が変わっても、この休暇はとらなかった分をずっと持って移動できる。
この休暇のうち、年間5日までは、自分の病気ではなく,家族の病気のケアのために取ることもできる。

私は病気休暇がたまっているので、今、病気になって休むことになっても、4-5ヶ月は、病気休暇で給料をもらいながら、療養できることになる。
基本給だけなので、通常よりは給与が少なくなるけれども。

それから、Study Leaveがある。
フルタイムなら、年間3日間、自分の勉強のために取れる。パートタイムは労働時間に応じて取れる。
フルタイム、パートタイムにかかわらず、学会等の参加のための休暇が2日ある。
大学院等で、自分の専門分野の勉強をしていれば、週4時間の休暇が26週間、104時間取れる。パートタイムは労働時間に応じた分が取れる。

日本から、緩和ケアの勉強をしたいと、研修にこられる方は、皆、少ない有給休暇を取って来ている。
長期に来たいという人は、退職する以外には選択の余地が無かったという方が多い。
有給休暇も全部消化できることは殆どないし、残業は日常のことだし、その残業も全部を残業手当として請求できないと...
日本でナースの過労死のニュースがあったけれど、誰も他人事ではないと感じるのではないだろうか。
http://www.pure.ne.jp/~umasuhe/index.html

私はこちらに来て働くようになって、ナースが健康で人間らしい生活ができる労働条件は、安全なケアを提供していくための大前提ではないかと、つくづく思うようになった。

最後に、産児休暇、52週間取れる。
夫婦で同じところで働いていれば、母親だけが52週間とってもいいし、夫婦で半分ずつ取ってもよい。
この休暇は無給だが、必ず、休暇前のポジションに復職が保障されている。
職場のほうでは、休暇の間の欠員を埋めるために、52週間の契約でスタッフを募集することになる。

こちらでは固定した職場で、フルタイムで長く働く人というのが、日本に比べるとずっと少ないようだ。
これはナースに限らない。
自分の生活に合った仕事、自分の能力を最大限に生かせる職場、或いは新たなチャレンジを求めて人は動く。
こうした雇用体系が、自分の勤めている会社、組織に対する誇りとか、忠誠心とかといったものの考え方に大きく影響を与えるのではないかと感じる。





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ナース対患者の割合

一人のナースが何人の患者さんのケアをするか?

この割合は、ナースのユニオンとビクトリア州政府との間の協定によって定められている。
これはビクトリア州のパブリックセクターの急性期病院、および緩和ケアに適用される。

この協定Nurses Awardに興味のある方は下記のサイトを参照してください。
http://www.wagenet.gov.au/wagenet/Search/view.asp?docid=284407&query=&page=20&quickview=Y

日勤(0700-1530)
患者4人に一人のナース、プラス、インチャージ(NUM, AUM, もしくはシニアナース)

準夜(1300-2130)
患者5人に一人のナース、プラス、インチャージ(AUMもしくはシニアナース)

深夜(2100-0730)
患者8人に1人のナース、そのうち一人はAUM,もしくはシニアナース

私の勤務する緩和ケアユニットは16ベッドあるが、政府から予算が出ているのは14ベッド分、従って、14人で万床ということになる。
満床になることは少なく、時には患者数、8人とかいうこともある。

日勤は、NUMを含めて4-5人、準夜勤はインチャージを含めて3-4人、夜勤は2人で行っている。

の協定のいいところは、誰かが病気で休んでも、必ず人員の補充があるということ
だから、普段、4人で仕事をしているところを、病欠が出たからといって、3人で仕事をこなさなければいけないということにはならない。

又、人員としては足りているけれども、がんの脳転移とか認知症とかがあって、転倒のリスクが高く、片時も目が離せない患者さんがいる事もある。
この場合には、理由を明記して、余分にナースを一人、その患者さんのために要請することができる。

補充のナースはどこから来るのか?

前の記事、ナースの雇用体系を見てください。
http://pallicare-au.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_14cf.html

誰かが病欠等のの連絡をしてくると、すぐに、病院のAllocation Officeに連絡をして、欠員の補充を依頼する。
Allocationは、そこでナースバンクのナースでその日働ける人がいるかどうか調べて、いれば、その人に勤務の依頼をする。
ナースバンクで働けるナースがいなければ、Agencyに連絡をして派遣ナースを送ってもらう。

病欠は結構多い。
勤務の始まる数時間前に連絡されても、補充がすぐできるわけではないので、緊急でなければ、前の日に連絡するようにしている。
風邪で、ゴホゴホ咳をしながら仕事に出たりすると、近寄らないで、ばら撒かないでよと、かえって嫌がられる。
日本で働いていたときには、風邪ぐらいで休むなんて...、という風潮で、無理して働いてたなあ。

バンクや派遣のナースで仕事になるのか?とよく聞かれる。

もちろん初めて来る人もいるから、常勤のスタッフナースと同じように働けるわけは無い。
でも、皆、驚くほど、スムーズに仕事ができる。
どこの病院でも、スタンダードは同じだからかなあと思う。
中には、役に立たないナースもいるけど...
そういう場合は、スタッフナースと同じように4-5人の受け持ち患者さんを与えるのではなく、シャワーとか、簡単な処置とか、スタッフナースの手伝いとか、業務を与えることで、ちゃんと助けになる。

たまに、びっくりするぐらいあほな質問をしてくる人もいる、けれども慣れた。
わからないまま、勝手に間違ったことをされるよりは、聞いてくるほうが安心、何も質問がないと不安になってチェックに回ったりすることになる。

末期の患者さんのケアは怖いというナースもいる。
じゃあ、何で緩和ケアユニットに来ることをOKしたのよと言いたくなるが、そこはぐっとこらえて、安定した患者さんを任せたり、時間があれば、これを機会にとちょっとした緩和ケア教育

日本でもこういうシステムがあればいいのになあと、日本から来たナースと話すこと多し

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ナースの雇用体系

日本と比べて、オーストラリアはナースが自分のライフスタイルに合わせて働ける雇用体系であると思う。

例えば病院で働いているナースを、分類すると下記のようになる。

Permanent Full Time (正職員フルタイム)
Permanent Part Time (正職員パートタイム)
Casual/Nurse Bank (カジュアル/ナースバンク)
Casual/Agency Nurse (カジュアル/派遣ナース)

日本の病院で働こうと思えば、上記のうち、正職員フルタイムで働けると言うことを求める病院が圧倒的に多いと思う。
三交代勤務のフルタイムというのは、主婦であり母親であるナースにとっては、非常に困難なことではないだろうか?

オーストラリアでは、正職員パートタイム、ナースバンク、もしくは派遣ナースという形で働いていることが多い。

正職員パートタイムは、週に確実に働ける日数、例えば2日と言う形で雇用契約を結ぶ。
日本のパートタイムと違って、給与、休暇、手当て等で差がつけられることは無い。休暇もフルタイムに比較しての労働日数に応じた割合の休暇が与えられる。
小さな子供がいて、週に2日は子供を見てくれる人がいるから働けるとか、大学院で勉強をしているので、フルタイムはきついからとか、そういう人が多くパートタイムの選択をしている。
又、夜勤専門という選択もあるので、夜間は配偶者が子供の面倒を見るから、夜勤を選ぶという人も多い。
子供が大きくなるまで、10年以上夜勤専門で働いていたという人は多い。

週に数日でも確実に働けるかどうかはわからないという人もいる。
そういう人はカジュアルとして働く。
多くは、病院のナースバンクに登録をして、スタッフに欠員が出た時に、自分が働ければ働く。
バンクナースは、病院のAllocationの担当者に、自分が働ける日のリストを提出してあるので、病院側は、欠員が出たら、まずはバンクナースで働けると言う人に連絡をする。
有給休暇、病気休暇とかはない。
働かなければ何の収入も無く、保障も無い。
その代わり、カジュアルで働くと、時給は正職員より割高になる。
ウイークデイで112.5%、ウイークエンドで187.5%、Public holidayだと250%になる。
バンクナースに聞くと、仕事は充分にあると言う。
A病棟はいやだ、C病棟はいやだ、B病棟でしか働かないと言う人は当然仕事は減るけれども...

派遣ナースは特定の病院には属せず、派遣会社で働いている。
昨日はA病院、今日はB病院、明日はC病院などということもある。
自分の希望はもちろん入れられるが、希望が多いほど、仕事の量が減るのはやむをえない。
派遣ナースの手元に入る給与はバンクナースと大差は無いが、派遣会社が病院に請求する時給はバンクナースよりもはるかに高い。
ビクトリア州政府は、Public Hospitalに極力派遣ナースを使わないようにと圧力をかけてきているが、たりないものは仕方がない。
バンクナースで欠員の穴埋めができなければ、派遣ナースを雇うことになるので、派遣ナースとして働いている人たちの職が危うくなることはなさそうだ。

正職員の給与を大幅に増額し、待遇を改善すれば、カジュアルから正職員に切り替える人が多くなろうことは自明のことだけれども、政府というものはどこの政府もそういうことはしようとしない。
それどころか、過去にナースのユニオンが勝ち取ってきた数々の手当てをなし崩しに奪おうとしている。

従って、カジュアルで働いてても恐れることなし、カジュアル安泰ということになってるようだ。

ナースに欠員が出るとは何を基準に欠員と言うのかは次回に。

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ナースの勤務体制

ナースの勤務体制は多くは三交代、まれに二交代制をとっているところもある。

典型的な三交代制の勤務時間

日勤(Early shift) 0700-1530 (労働時間8時間)
準夜(Late shift) 1500-2130 (労働時間8時間)
深夜(Night shift) 2100-)730 (労働時間10時間)

夜勤は夜勤専門のナースがかなりいる。
夜勤は日本のように、日勤、深夜、準夜と細かく交代することは無く、一ヶ月夜勤ばかりやることのほうが多い。
このほうが身体には楽なような気がする。
欠点は、夜勤の月には、世間と逆の生活で、何だか普通の生活というものを失ったような気になる。
でも労働時間が昼間の勤務よりは長いので、週に4日働くと3日休みになる。

こちらはもちろん完全週休二日制だが、ナースの労働時間はビクトリア州政府とナースのユニオンとの間の協定で、週36時間と定められているので、時間の調整のために、4週に1日、追加の休日が入る。

残業はまず無い。
私はこちらで働いて10年以上になるが、残業は数えるほどしかしたことが無い。

もし残業すればもちろん残業手当を要求できる。
ウイークデイであれば、残業の最初の2時間は時給の1.5倍、それを超えると時給の2倍、
ウイークエンドであれば時給の2倍が支払われる。

申し送りはそれぞれの勤務帯がダブっているその時間内に行う。
病棟のミーティングや勉強会等は、日勤と準夜勤の間が2時間半ダブっているので、その時間を利用して行っている。

ナースの勤務表は、自分の働いている日数の50パーセントまでは希望が出せる。
とはいっても、病棟をスムーズに運営するためには適切なスキルミックスが必要なわけだし、希望ばかりを重視していては、適切な勤務表が組めないので、希望が必ずしも全部通るわけではない。

Self rosteringといって自分達で同僚と調整しあいながら、皆がほぼ希望通りの勤務表を作成するとい
うシステムをとっているところもあるが、これも、実際にはかなり難しい。

ナースは皆勤務表を見るのが好きだ。
ちょっと暇があると勤務表を引っ張り出してきて、何とか自分のソーシャルライフに都合がいいように、勤務交代できる人がいないかと探している。
勤務交代が、病棟のスキルミックスに大きな影響を与えるようなものでないと、ナースユニットマネージャー(NUM)もしくは、アソシエイトユニットマネージャー(AUM)が判断すれば、勤務交代が許される。

病棟の都合で、急遽、勤務交代を上から言いつけられた時には、それが24時間以内の勤務についてであれば、安いけれども、勤務交代手当てが出る。





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